須永祥雍 油彩画新作展 ― 時間と生命の痕跡を描く ―

須永祥雍 油彩画新作展
― 時間と生命の痕跡を描く ―
2026年4月8日(水)〜4月16日(木)
会期中無休
12時〜18時(最終日16時まで)
青・白・黄を中心とした限られた色相の層と、筆触の重なりが、画面に微細な奥行きと揺れを生み出しています。今回の新作では、色彩や質感を通して「時間」や「生命の痕跡」に触れようとする試みが続けられています。
卵のかたちや破片、粒子のような要素が散在する画面は、秩序と崩れのあいだを往復しながら成立しており、描く行為そのものが、時間の流れや身体の感覚と結びついています。青や白、黄色の層は互いに支え合う一方で、完全には安定せず、わずかな緊張を保ったまま画面に留まります。
画面にはしばしば、垂直や水平を思わせる構造が現れます。それらは何かを明確に支えたり、固定したりするためのものではなく、むしろ崩れや流動のなかで、かろうじて場を保つための痕跡のように置かれています。柱や梁のような関係性は、安定を約束する理論というよりも、壊れきらないための最小限の構えとして、画面に滲み出ています。
ガーゼをはじめとする繊細な素材の使用は、ケアや記憶、あるいは脆さを想起させますが、作品は特定の物語や結論へと回収されることを拒みます。むしろ、形や色が壊れきることなく踏みとどまるその状態自体が、鑑賞者に問いとして手渡されます。
一筆一筆、一つの筆触は、完成へ向かうためというよりも、揺れを抱えたまま存在し続けるために置かれています。画面に立ち現れる静かなリズムや呼吸を通して、日常では見過ごされがちな感覚の深層に、そっと耳を澄ませていただければ幸いです。
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